不動産取引Q&A

専属専任媒介契約とは何ですか?

不動産を売りたい時、あるいはすでに売却中の方は「専属専任媒介契約」という言葉を耳にされたことがあるでしょう。この「専属専任媒介契約」は仲介業者を通じて不動産売却を行う際に売主と不動産業者との間で結ばれる契約のことを意味します。

売却に関連した契約方法は「専属専任媒介契約」の他に「一般媒介契約」「専任媒介契約」があり、それぞれ契約内容が異なります。

文字だけ見ると似た印象であることから、それぞれ何を意味するのか分かりにくいと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、このページでは主に「専属専任媒介契約」について分かりやすく説明いたします。

専属専任媒介契約とは

「専属専任媒介契約」とは売主が不動産売却を行う際、その販売活動に関する業務のすべてを特定の不動産業者一社に任せることを約束する契約です。不動産業者は売主の物件を独占的に販売する権利を持つことで、売却活動においてより大きな責任を負うこととなり、売却に向けて積極的に動くことが期待されます。

一方、売主は「専属専任媒介契約」の有効期間中、同他の業者にも並行して売却の依頼をすることや自分自身で買主を探す「自己発見取引」を行うことはできません。

たとえ、売出中の家を親族やお知り合いなどの身近な人が個人売買の意思を示してきたとしても、「専属専任媒介契約」の締結期間中は勝手に売買取引を行うことは契約内容に違反することになり、全面的に禁止されています。

専属専任媒介契約の期間

専属専任媒介契約の契約は不動産仲介業者が「媒介契約書」を作成することで正式に発生します。この契約期間は最長3ヶ月間とされており、契約を更新する・更新しないの選択は売主の意思が尊重されるため、自動更新されることはありません。

専任媒介契約(専属専任媒介契約を含む)では、有効期間は、3か月を超えることができません。これより長い期間を定めたときは、その期間は、3か月とされます(同法34条の2第3項)。

引用元全日本不動産協会:一般媒介契約について「専任媒介契約と専属専任媒介契約について」

専属専任媒介契約の期間中に担当業者が行う主な活動とは

専属専任媒介契約の期間中、不動産業者の主な業務は広告宣伝活動です。専属専任媒介契約の契約期間中は担当の不動産仲介業者は物件の売却に向けた様々な活動を行います。販売中の主な活動内容は広告宣伝となり、速やかに売却できるよう、さまざまな取り組みをします。不動産仲介業者が行う主な広告宣伝活動は以下のとおりです。

  • 不動産ポータルサイトへの掲載(Homes・at homeなど)
  • 自社が運営するWebサイト・SNSへの掲載
  • 有償Web広告への掲載(Google・各種SNSなど)
  • チラシのポスティング活動
  • 現地販売・オープンハウスの実施
  • 物件購入を目的とした来店客へご紹介

専属専任媒介契約の期間中に契約解除したい場合の注意点

専属専任媒介契約で注意したいポイントは途中で契約解除に関することです。専属専任媒介契約期間中に何らかの理由で途中解約したい場合は、売主に対してペナルティが発生する可能性があります。

このペナルティの内容は不動産仲介業者ごとに異なり、金銭的な負担が発生する可能性もあります。そのため、専属専任媒介契約を結ぶ前には違約に関する事項も必ず確認するようにしましょう。

売主都合による専属専任媒介契約を途中解約する際に発生の可能性があるペナルティ例

  • 契約違約金
  • 販売活動で生じた交通費の請求(内覧・物件調査・法務局調査などで生じた交通費)
  • 広告費の請求(有償Webサイトへの掲載・チラシ印刷代など)
  • 通信費の請求(インターネット・電話代など)
  • 士業・各種専門家に対して生じた経費の請求
  • 関連書類作成費の請求

媒介契約は3種類専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約
の違いについて

専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約はそれぞれ、売主と担当業者との間に発生する拘束力の強度が異なります。もっとも強度が大きい契約は「専属専任媒介契約」となります。担当業者は売主が売りたい物件を独占的に取り扱う権利を得ることにより、他の媒介契約と比べて速やかな販売活動や報告義務が発生します。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
他社との並行契約
売主による自己発見取引
契約期間 制限なし 3ヶ月以内 3ヶ月以内
レインズへの登録 任意 契約契約後7日以内に登録 契約契約後5日以内に登録
売主に対する活動報告 義務なし 2週に1回以上 1週に1回以上

まとめ

不動産の売買取引には専門用語が多数あり、わかりにくい事が多々発生するかと思います。しかし、用語を十分に理解しないまま契約を締結してしまうと後で大きなトラブルに発展する可能性もあります。そのため、不明点は恥ずかしがらずに都度担当業者に確認することをおすすめします。当社ではむずかしい専門用語は使わず、わかりやすい説明を心がけています。お気軽にご相談くださいませ。

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